神道
 神道は日本固有の民族宗教で、その特徴は八百万(やおよろず)の神々と言われるように、自然界における森羅万象すべてを崇拝することにあります。この世に存在するすべての「物」に神が宿っているという考えがあったからこそ、日本人は自然を大切にしてきましたし、天変地異があればそれを「物の怪」の仕業として怖れたのかもしれません。古代より、朝廷では世俗権力と同時に宗教的権威を併せ持った天皇が国家祭祀を行い、天下の安泰を祈願しました。そして神や天皇に仕える女性は、神や天皇と交わってはじめて神聖視されるようになったわけです。そのため、神聖な天皇に処女を捧げることは大変に栄誉なことであると考えられていましたし、雄略天皇が一夜妻との間に生まれた女の子を自分の子かどうか疑ってなかなか認知しようとしなかったという逸話が『古事記』に残されています。また神社の巫女は神と結婚しなければいけなかったため、処女であることを求められました。
 このような考えは貴族社会に広く浸透していたため、歌垣(かがい)と呼ばれる歌合わせで知り合った男女でさえ、女性は神に処女を捧げてから男性と肉体的な交わりをするという習慣があったのです。律令国家が神道の祭祀を貫徹させるため、諸国に一宮を中心として神社を大系化させることに成功すると、こうした考えは一般大衆にまで広がりました。そして、神との交わりをかわしたあとに現実にもセックスすることができるという観念が、夜祭りや盆踊りのあとには性的な解放が許されるという習慣になったといいます。
 もちろんこれはフリーセックスを意味しているわけではありません。普段から憎からず思っている男女が公然と交際を認められたというだけのことです。性が神聖視されていたからこそ、祭りの日にセックスすることが尊ばれたのでしょう。現在、神社の近くにラブホテルが多いのも、歴史的にはそういう考えがあってのことです。それだけ日本人はセックスを神聖視していたということになるのかもしれません。神をも恐れぬ無軌道なセックスには、必ずや神罰がくだることと思います。

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